2013年8月20日火曜日

バイリンガル教育の弊害

幼児期において2つ以上の言語に触れていることのデメリットにはいろいろな説があって、親子英語に取り組んでしばらく経つ親なら少しは聞いたことがある人も多いだろう。

曰く母語の習得が遅くなるとか、でも後から追いつくとか、といったあたりだ。

ここはひとつ専門家の意見を、ということで例によってバイリンガル教育の専門家Grosjean氏のHPの"Myths about bilingualism"というページの一部を紹介しよう。

*** ここから紹介 ***

「バイリンガル(教育・環境)は子どもに言語の遅れを引き起こす」

間違いである。20世紀中盤ぐらいまでは人気のある神話だったが、その後多くの研究を通じて間違いであることがわかった。2言語を習得しているために単一言語環境にいる子どもと違う面はあるが、速度が遅いということはない。失読症などの言語の問題を抱えた子どもがバイリンガル環境に多いということもない。

*** ここまで紹介 ***

まあバッサリという感じで断言している。さらに、"What parents want to know about bilingualism"の中の一節を紹介しておこう。

前置きしておくと、こちらは移民などのケースを想定していて、学校や社会の言語と自宅の言語が違う状況の場合で、親の言語は自分の母語であることを想定している。

***ここから紹介***

10. もし子どもが言語の遅れを指摘されて、バイリンガル教育がその理由だ、と言われたらどうしますか。学校の言語療法士の意見に逆らってまで自宅で(親の)母語を話すべきでしょうか。

答え:

バイリンガル教育と言語療法の専門家Susanne Döpkeは、バイリンガル教育は決して言語の遅れや問題の理由にはならないと述べている。家庭での言語を社会の言語に合わせても、子どもの言語の言語能力は改善しないどころか他の悪影響があるかもしれない。

そのような考えは一般に受け入れられていて、一部の専門家も信じているが、明らかに間違っており、家庭での言語を変えるべきではない。単一言語環境の場合とバイリンガル環境の場合で、言語に何らかの発達の障害(specific language impairment, SLI)がある子どものパターンは一緒である。

このように、バイリンガル教育を止めろという専門家の指導にはなんら(学術的)根拠がないため、家庭でのバイリンガル教育は続けるべきである。

ただし、(2言語の使い分けについて)家庭で一貫した方略をとり、家族や友人に加えて学校の教師や専門家などの協力を得ることが大切なのは言うまでもない。

***ここまで紹介***

この説は、北米やヨーロッパでバイリンガル教育の最前線である移民家庭を想定して回答されているが、Grosjean氏は母語でない言葉で親が話すことはバイリンガル教育に有効だと考えているので、親子英語にもあてはまる。

実際には、親子英語では家庭での言語が完全に社会の言語と異なるという事態にはならないので、おそらく問題視すらされないだろう。

結局、学校などで問題にされるような言語の遅れ(話す・聞く・読む・書くのどれでも)、つまりSLIは別の理由があるのであり、バイリンガル教育が理由ではない、ということだ。

ただし、これはあくまで学校の先生が気がつくほどの言葉の遅れの話で、ちょっと語彙が少ないとかそういう次元の話ではない。

親子英語的には、たとえば12歳になったときに何らかの面で国語力が劣るか、というのが気になるところだろう。

ちょっと長くなったので、これはまた次回。こちらについては「専門家によればそんなものはまったくありません!」というわけにはいかない。

***

つい最近までちょっと教育的な番組ばかり見ていたと思ったら、反動が来たのか今は爆丸ばかり見ている。そろそろ次のシーズンを購入する必要があるだろうか…。

そして、なおに「スピーカーが遅い」と文句を言われた。最初何のことかわからなかったのだが、画面より音が出るのが遅いということらしい。で、一緒に見てみたが別にそんなことはない。

そこで気がついたのだが、これは日本語版に英語音声を吹き替えしているアニメなので、キャラクターの口パクが音声に合ってない。このためになおが違和感を感じるのだろう。

そういえば、セサミストリートではマペットが話すときは実際の人間の口の動きに合わせて口を動かすのが徹底されているのだ、と聞いたのを思い出す。

追記:なおままから修正が入った。正確には人間の口の動きに合わせているのではなく、音節ごとに1回口が開くことになっているそうだ。

ビデオの方は爆丸一色。絵本の方は、リクエストに応えて(負けて)こちら。以前購入したスパイダーマンやトランスフォーマーのリーダー絵本も今だ愛されている(さほど読むわけではないが)ので、まあいいか。売っているうちに買っておこう。

Superman Classic: Superman versus the Silver Banshee (I Can Read Book 2)Superman Classic: Superman versus the Silver Banshee (I Can Read Book 2)


このあたりは渡すと丹念に眺めているので、読み聞かせはサボり気味。昨日はちょっと豪華に外食で帰りが遅くなったので読み聞かせはなし(^^;

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2 件のコメント:

cotton さんのコメント...

バイリンガル教育の弊害についてはよくどこでも言われてることなので、もちろん念頭におくこと必要ですよね。(と言ってもわが家の場合は、そんなレベルではないのですが、親子英語をやるうえでは一応^^;) 弊害についてはもちろん知っておくことも必要。セミリンガルになった例もある。わかる。でも、わたしが実際知ってる方で小さいころから英語(第二言語)に触れてそれで磨かれた感覚や知識で倍に豊な人生を送っている方も少なくないんで、バイリンガル教育に全面否定みたいな意見を聞くと、ただ単純に「なんで弊害にばかり目を向けないといけないのかなあ」と思ってしまう超単純なわたしです。ダメでしょうか^^;もちろん正しいやり方でというのが必要なんだと思いますが。
続きの記事をお待ちしております。
あ、確かにセサミの人形はパクパクするだけなので口の動きに合わすのではなく音節ごとに1回口が開く、、、ですね〜^^; なおままさんするどい^^

なおぱぱ さんのコメント...

>cottonさん

周りから言われることもあるし、このあたりは多少知っておいた方がいいと思います。日本で親子英語をやる場合は、バイリンガル教育で言われるような量をやらないので、いずれにせよ杞憂だと思いますが。

小さいころから第2言語に触れている身の回りの例、本当にいろいろな意味で人生が豊かになっていいなあ、と感じるケースが多いですよね。我々もそのあたりを目指して(^^)

続きの記事は都合により一週間ぐらい後になります(^^;