2015年10月3日土曜日

「『学力』の経済学」を読んで感じたこと

巷で評判らしいこちらの本、私も読んでみた。

「学力」の経済学「学力」の経済学


まず感じたのは、帯にある「思い込みで語られてきた教育に、科学的根拠(エビデンス)が決着をつける!」とあるが、あまりに大げさ。こういうのは編集者がつけるにしても、著者がOKを出さないといけないはず。

教育問題に対して、評論家なり市井の人々が主観でモノをいうのを批判している割に、ご自分も似たようなものだ。



子どもにご褒美を与える件に関しては、結果(成績)を褒めるべきではなく、経過(努力)を褒めるべき、という主張には同意する。また、我が家ではお小遣いは勉強に対する褒美なので、実践しているともいえる。

「テレビやゲーム」に関しても、我が家では十分すぎるほど与えているので、同意せざるを得ない(笑) 曜日にもよるが、1時間を超えることもあるので、まったく悪影響を与えていない、という自信はない(が、テレビやゲームから得られるものもあると思っている)。

教育への投資は幼児期が一番効果的、という主張に関しては、現代アメリカにおいてはその通りかもしれない、と思う。ただし、投資額とそのリターンに関する分析はあくまでも政府がどの年代の子どもにどれだけお金を使うか、という議論のために使われるもので、個々の家庭に当てはまるものではない。

つまり、これを読んで、やはり幼児教室に通わせよう!と考えるのは、勘違いも甚だしい(別に幼児教室に意味がないといいたいわけではなく、高校で同じ費用を塾に使うよりも効果的というわけではない、ということ)。

また、幼児教育に関する研究では、たいてい、広い意味での学力(理解力なども含めて)には何の向上も得られない(正確には数年経つと消える)という結果になることが多い。

面白いのは、学力向上には効果がないが、学力以外の面、粘り強さとか自制心に向上が見られるという点だ。人生での成功には、こうした面も非常に重要だ、というのは当然のこと。



ここで紹介されている「根拠」の多くは別に日本で今まで知られていなかった、ということではないが、一般の人が勘違いしやすいことについてまとめて紹介しているのが価値があるのだろう。

学校教育におけるクラスメイトの影響の大きさは、「教育経済学」ではなく、色々な文脈で語られており、なおの私立中学受験を考える上で大きな理由となっている。

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