2019年3月22日金曜日

大学入試への「4技能」導入、個人的には…

未だ実施の詳細については不透明なところもあるものの、英検やGTECなど民間の英語試験、それも「4技能」を測るものを大学入試に使うという変更は、もう目前まで迫っている。

実のところ、なお本人にとってはポジティブに働くだろう、と思われるこの変更に、私個人は賛成ではない。

「4技能」になるというのはどういうことかというと、現在、センター入試ではスピーキングは使われず、ライティングも語順問題ぐらいで限定的なのが、どちらもそれぞれ4分の1の比重を持つ、ということだ。

まず、この4等分という発想自体が筋が悪い。どれも同じように重要だ、ということなのだろうが、リーディングやリスニングに比べ、ライティングやスピーキングは低コストで測定するのが困難だ。

英検を見てみればわかるが、大学入試に使ってもらうために「4技能」均等にしたらどうなったか。ライティングのお題と採点者が「ガチャ」になり、運次第で点数が乱高下する。もともと、スピーキングはそれぞれの級にふさわしい程度話せているか、という基準だったのに、今は点数化する上に1/4の配点で、客観性が非常に怪しい。

昔は2級に受からなかったような生徒が、ライティングの点数が妙に高くて受かっちゃったとか、そういった体験談も多い。

英検以外でも、ライティングの配点が相当怪しい事例とか、スピーキングは教室で一斉にタブレットに話しかけるスタイルだから隣の学生の真似をして喋ればいいとか、そういう民間テストの妥当性を疑わせる事例がたくさん漏れ聞こえてくる。

さらにいうと、「4技能」化は、限られた高校生・中学生の英語の学習時間を、どう使うか、ということにもつながる。

リーディングの比重が減る、ということは、今まで単語を覚えて文法を学んできた時間がぐっと減って、その分、非常に単純な構文の文章を喋る練習に使う、ということになる。

小売店で外国人観光客の接客をするのが英語学習の目的なら、これで正しい。

が、大学入試の目的は、大学での勉強に必要な英語力を身につけているか測ること。そして、日本の大学では、30年前も今も、必要なのはまずは読む力だ。

日本の大学生は、受験勉強で英語を必死に学んでも全然喋れない、という側面は確かにある。でもそれは、ちょっと喋る練習をしたら、一気に上達するということでもある。個人的には、必要になったら、オンラインレッスンでもやって個人が頑張ればいい、と思うのだが…。

この変更のおかげで受験生は今までのリーディングのレベルを維持しつつ、スピーキングもライティングも伸びる!というのなら素晴らしいが、受験生の勉強時間が増えるわけではない。さらにいうと、英語の時間が増えるなら、他の科目の勉強時間が減ることになるが、それは日本の社会にとって、本当に望ましいことなのかどうか。

***

とはいっても文科省の、というより政府の方針なので、もう大学入試はそういうものになる、と考えて対策するしかないだろう。

我が家の場合は、もう何も考える必要がなく、現状維持のまま、高3になったら一番点数が高く出る民間試験を選ぶだけだ。理想を言えば、高2までに最低限、英検とGTECは両方何回か受けて、どれが自分に向いているか調べることになる。こんな数万円の追加の出費を日本全国の受験生に強いる変更にはため息がでる。

にほんブログ村 英語ブログ 親子英語へ
にほんブログ村

0 件のコメント: