いよいよ第3章"Emergent Literacy: Reading and Writing for Preschoolers"の紹介に入る。第1章は"What is reading"、読書の重要性、第2章は"The Between the Lions Carriculum"、番組内容がいかに学習に結びついているかの説明だったので、ここからがある意味本番になる。この章からは発達段階別のガイドになる。
この段階にいる子どもが身につけておきたいことは、以前紹介したリストの通り。
この段階の開始はだいたいちょうど4歳になったばかりぐらい(おお、今のなおの段階だ)。もちろん、アルファベットを学んだり、という意味でもっと前から始まるのだが、だいたいこれぐらいで「読み始める」らしい(あくまでネイティブの場合)。
この時期に、子どもは身の回りに活字がいっぱいあり、どれも何かを意味していること、大人は文字を使ってお互いにやりとりをしていること、いつか自分も使えるようになるだろう、ということを学ぶ。
ただし、この時期に重要なのは、活字だけでない。話し言葉、つまり話すこと・聞くことも同じように重要だ。話し言葉は活字の基礎になる。
したがって、この段階では子どもに言葉と活字に興味を持たせるような様々な活動を導入していくことになる。
子どもの発達には個人差があるので、この段階で勧められるようなこと(前回の「プリスクール時代に達成しておきたいこと」)をクリアしていると思えば次の年長さん時代のガイドへと進めばいいし、まだまだ準備ができていないと思えば、この章で紹介している活動をやってみよう。
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・物語(storytelling)の重要性
子どもは「聞く」ことによって学ぶが、ここでいう「物語」とは、絵本だけでなく、その日に起こったことを親子で話したり、親が子ども時代のことを話したり、周りの人のことを話したり、など様々なものを含む。
まずは、親自身が自分はstorytellerなのだと理解することから始めよう。物語とは、ある体験を言葉で表現する、ということであり、物語には始め・真ん中・終わりがあり、何を伝えて何を伝えないか、を選ぶ必要があり、細かい描写も時には重要、普段使わない表現を使うこともあり、聞き手の注意をつかむような工夫を知らず知らずのうちにしている。
物語を聞くことによって、実体験から必要な情報だけを選び出して形にして考えるために言語が重要かということを子どもは学ぶのだ。
親は別に何か物語を創造したりする必要はない。知っている昔話や童話を自分の言葉で伝えたりするのでもよいし、子ども時代の思い出を話すのでもよい。
子どもにも自分の物語を作らせよう。一緒に何かをしたことについて子どもに語らせたり、その体験について子どもと順番に話したりしよう。「もし~だったら」と想像を巡らすのもよいし、写真を見て話すこともできる。
子どもと一緒に絵本を読むなら、誰か新しい登場人物がでてきたらどうなるのか、または違う話の展開を考えることができないか、子どもと一緒に考えてみよう。たとえば、白雪姫が7人のこびとではなくて、3匹の熊さんの家に着いたらどうなっただろう。こういったことについて考えることにより、子どもはstorytellerとしての考え方を学び、登場人物や出来事との関係について注意を向け始める。
もっと成長して、子どもが自分のお話を作り始めたら?それはすばらしい!子どもが詰まったら、「それからどうしたの?」といった合いの手をいれたり、して手助けしよう。子どもが語るのがすでに知っているお話のバリエーションでも、十分に役に立つ。子どもが物語を話すときは、「始まり、真ん中、終わり」について聞いてみよう。こうすることによって、子どもは物語のエッセンスが何なのか考えることができる。
物語はそれ自体が楽しいだけでなく、会話の構造と言語について、非常に深い理解を子どもに教え込む方法でもある。識字(literacy)とは、活字を言葉に直すというだけでなく、言語が意味を伝える際にどのように余計な情報を「そぎ落とす」かについて深く理解するということでもある。物語というのはそれを学ぶのに最適の素材なのだ。
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正直言って、ネイティブではない親が英語でこういった活動を子どもとするのは無理に近い。が、日本語でやるのでも十分に効果があると思う。日本語で学ぶ、こうした言語への理解は、当然英語を身につける際にも役立つ。
テレビ番組だけでは駄目なのはなぜか、というとどうしても一方通行になってしまうからだ、というのもこの節の説明からわかる。逆に、テレビで見た「物語」について、ここで書かれているような会話を親子ですることによって、テレビで得た知識を十分に活かすことができる。
我が家での英語の活動でここにあてはまるのは、と言えば私が帰宅してから"What did you do at the school today?"と聞くぐらい。でも、"Nothing."と返ってきて終わり(^^; なおが一人で体験した話を自分でいきなり言葉にするのは難しいので、親子で体験した話を元に会話をする方が良いのだな、というのがわかった。
また、アニメももっと一緒に見て、それについて話す、という基本的なことをもっと徹底しなければ。
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4 件のコメント:
なおぱぱさんのこのシリーズは保存版です!!毎回詳しく記事にしていただきありがとうございます!
日本の幼児教育の記事は「読み書きに興味があってもまだ教えてはいけない」とか「早期教育はすぐに追いつかれる」とか、なんだか消極的な話になりがちですが、アメリカではこういった手法で4歳から読む事、表現する事を薦めているんですね。
本当に参考になります!
そして、The Between the Lionsが欲しくなってしまいました、、、
R太郎が赤ちゃんの頃にテレビで放送していたと記憶していますが、録画しなかったのが残念です(^^;)
これからもこのシリーズ記事を楽しみにお待ちしています。
そう言っていただけるとやりがいがあります!
小学校でも習熟度別が導入されていることもあって、アメリカではどんどん先に進むことには積極的ですね。
R太郎くんなら、Kinderの章から始めるのが良いと思います。
また、ブログのネタに詰まったときにでも(笑)、記事を追加していきますね。
なおぱぱさんの訳、すごくわかりやすいです!!
いつもありがとうございます(^0^)/
ハナの現状と見比べて、まさに今
「プリスクール時代に達成しておきたいこと」を
1つ1つクリアしている段階なのね~と
ふむふむ頷いています。
「物語」や「親子の会話」が大事なのは
こういう理由があるから、とわかってスッキリ☆
>ケイさん
どちらかというと、堅い訳ですいません(^^; あまり、時間使ってません(笑)
ハナちゃんの場合も、やはりキンダーの章だろうと思います(プリスクールの内容も参考になりますが)。
私も、物語を語る、というのが体験を言葉で表現する練習になるのだ、というあたり、考えてもみなかったことでした。
実は、まだプリスクールの章続きます(^^; 気長にお待ちください。
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