2014年7月3日木曜日

東洋経済オンラインの記事「英語はいつから始めるのがベスト?」

マイミクさんが紹介されていた東洋経済オンラインの記事「英語はいつから始めるのがベスト?」がなかなかに面白かった。

これは対談スタイルの記事で、予備校講師の安河内哲也氏(私は知らなかったが、著名らしい)と英会話教室経営者の水野稚氏の2人が英語学習のさまざまな側面について話しながら、英語教育とはどうあるべきか、ということに対して意見を述べている。

水野氏はずばり、英語教育は現状のまま、中学校から開始するので良いと考えている。

アジア諸国の中でTOEICのスコアを比較すると、日本人の平均スコアはかなり低くなるのだけれど、それは英語を勉強しなくても日本語だけで社会でやっていけることの現れであり、むしろ幸せなことではないか、という主張だ。

まあ、この主張自体は割とよくあるもので珍しくはない。

さらに、水野氏は外国語学習において低年齢から学習を始める方が良いのかどうかについての科学的研究がまったく行われていないと指摘する。

根拠がないのに小学校へと英語教育を拡充することには反対であるという。

一方、安河内氏の意見としては、「小学生であろうと中学生であろうと高校生であろうと大学生であろうと、大人であろうと、ただ言葉でキャッチボールをしながら自然に覚えていくのなんて、絶対に無理」であり、「EFL(外国語としての英語)環境の中では無理」だという。

最後は、今みたいにたくさん大学がなくてもよい、10%の本当に行きたい人だけが行けばよい、という話にいきつく。



この対談は、もともと議論が小学校における英語教育の導入の是非というところからスタートしているので、基本的には家庭で子どもに英語を早くから教えるべきか、という話と切り離して考えるべきだと私は思う。

小学校のカリキュラムというのは義務教育であり、すべての子どもが対象となる。また、少人数クラスといってもせいぜい30人弱ぐらいのところで集団で授業をしなくてはいけない。

こうした制限を考慮すると、安河内氏の日本の学校教育の中で会話を中心とした授業(『言葉でキャッチボールをしながら』)で英語教育を行うことには無理がある、という意見には同意する。

水野氏の主張である、外国語学習において低学年から始める方が良いという証拠がない、というのも、集団教育で母国語の確立した子どもに外国語として英語を教えるという条件の上での話だと思う。



公教育での英語のありかたという話から離れて、親子英語の効果ということになると、一番近いのはバイリンガリズム研究であったり、イマージョン教育だったりすると思う。

バイリンガリズムの研究では、当然ながら幼いときから(学歴期になる前に)第2言語を導入することが大前提となっている(たとえば、こちらの話とか)。

移民を対象とした研究では、多くの場合、より若いときに第2言語に接触した方が、新しい言語の習得が早かったり、習得レベルが高くなったり、ということがよく報告されているが、客観的な比較対象をどう行うのか、というのが常に問題になってくる。5歳で移民したAくんと10歳で移民したBくんは、そもそも別の子どもであるため、その後の経過を直接比較してもそれほど意味がない。

バイリンガル教育の研究者と保護者の間では、「できるだけ早く」というのがコンセンサスのようだ。



公教育でイマージョン(第2言語で直接指導する授業を交ぜること)を取り入れている国では、だいたい入学時からすぐにイマージョンを行うケースもあれば、高学年から、もしくはそれ以降ということもあるようだ。

もっとも、高学年からイマージョンを行う場合にはそれ以前に第2言語を勉強しているはずであって、あくまでもイマージョンを始めるのが高学年というだけだろう。

イマージョン教育に関するWikipediaの記述にはこんなことが書いてある。親子英語をやっている家庭には興味深いはず。

・低学年ではイマージョン教育を受けた子は、最初の2,3年はそうではない子よりも母語での読み書きが劣るが、後で追いつく。
・母語での喋る能力にイマージョンによる悪影響はない
・11歳までに喋る・聞く能力は「ネイティブなみ」になるが、読み書きの方はそうはいかない。
・初期にイマージョンを始めた方が、聞く・読む能力の伸びがよい。
・イマージョンをしても子どもの知的能力に悪影響はない。

イマージョン教育では、学校という集団場面において全員が第2言語を話すという環境が作られるので、そこが一般的な親子英語とは大きく違う。だからイマージョン教育での成果をそのまま親子英語へと当てはめることはできないが、年齢が早いほどやりやすいというのは同じだと思う。



この2人の対談はシリーズになっていて、これは3つめの記事だ(対談自体は1回)。結構意見が食い違う場面も多いので、一通り眺めておきたい。

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