英語の害毒 (新潮新書)
小学校への英語教育導入反対派の本はいくつもあるが、これは「英語」そのものが害を及ぼすと謳っている上に、「気鋭の言語学者」(帯の宣伝文句)によるものとあって、どんな議論が展開されているのか、ちょっと違った議論が展開されているのかな、と期待していた。
が、内容がトンデモなのでびっくり。
実際にはアマゾンの書評を読んだ時点でなんとなく想像がついてはいたが、これほどひどいとは。
たとえば最初の議論が「仕事に英語は必要か」だが、ここでは「人事採用担当者が英語力に必要以上の重きをおいて採否を判断するといいうことはありえる」と現状把握をした上で、今後は企業が学業成績をより重視するようになるだろうから、「英語の比重が相対的に低下することが予想される」と結論づける。
つまり、就職活動において学業成績は一部を除いて現在ほとんど影響せず、英語力が影響力をを持つ、というところまでが現状認識であるにもかかわらず、結論は「英語は不要」になってしまっている。
一事が万事この調子で、英語教育、政治、歴史、すべてにおいて、的外れな議論が繰り広げられている。専門家ではないのだから仕方ないにしても筋が悪い。
この本に少し期待していたのは、出版社が新潮社なのでまさかトンデモ本を出版することはあるまいと思っていたからだが、なんというか、非常に失望した。
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私自身は、自分の子どもに早期英語教育をするべきかどうかと、国として小学校でどれだけ英語を教えるべきか、という議論は切り離して考えるべきだと考えている。
働き始めてから仕事で英語を使う人は限られているというのは事実。だが、一方で、英語を使うことができることによって、仕事の種類の幅が大きく広がるのも事実。
まあ、別に採用試験で有利だから英語を教えているわけではない(高校・大学入試で役に立つのは期待している)。
このあたりについて、韓国からの知人とゆっくり議論をしたので、またそのうち。
2 件のコメント:
韓国のお友だちとの議論の内容が気になります。
アップを楽しみに待ってます。
それにしても。。。その本。。。買って読んだんですか?!
えらいなぁ(苦笑)
>Cassisさん
韓国では日本よりも英語教育に熱心な保護者が多いですからね~。
この本は買っていません!
まあ、ブログのネタにはなりました(笑)
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