インターナショナルスクールに通わせているママさんの話、というか意見が紹介されている。基本的には、今は国際化の時代、英語ができないと大企業に就職できない、だからインターに通わせなさい、といった論調だ。
実は昔からよくあるタイプの、悪い言い方をすれば欧米崇拝的な価値観が反映されているだけだと思う。中途半端に触れた欧米人の(ごく一部の)世界に憧れ、日本人は暗い、内向的だ、教養がない、といって嫌うのがその特徴だ。
実際には、たとえば日本とアメリカで一般市民の教養の差を比べると、大して差がつくわけではないだろう。見事なピアノが人前で披露できます、なんていうのは、(もっとも、「科学技術基礎概念の理解度調査」だとアメリカ63%、日本54%で差をつけられている)。
統計データを持っているわけではないが、アメリカに7年滞在した経験からも、別にアメリカ人の方がピアノが上手な人が多いわけでもないだろうと思う(もっとも、楽器を趣味としている人は多いかもしれない。住宅事情なども関係していそうだが)。
国際的な場で何よりも重視されるのは仕事での有能さだ。このあたり、海外赴任についていった家族には分からないことなのかもしれない。ピアノが弾けても、ユーモアのセンスがすばらしくても、無能であっては意味がない。
この方の発言の『物事は時には、上から下に見て、逆算して計画を立てることも必要』というのは、その通りだと思う。だがその最終目標が何にあるのか、というのは家庭によってさまざま。インターナショナルスクールに通わせる家庭というのは、自分自身が海外に移住する計画がある、または自分の子どもには海外(英語圏)で就職し、生活して欲しい、という家庭だろうと思う。
そういう価値観があることは否定しないが、だからといって、万人に受け入れられるようなものでもない。
インターナショナルスクールで受ける教育を経て得られる人格形成というのは、明らかに日本の学校教育で育まれるものとは違う。もしかしたら、ユーモアのセンスが磨かれて、ジョークが上手になるのかもしれない。だが、そんな単純なものではないもっと大きな違いがある。
極端な話、アメリカ人・ヨーロッパ人の一般的な日本観というのは、「極東にある電気製品を作るのが上手な国。SUSHIはヘルシー。この前、中国に返還されたんだっけ?」という程度(香港と区別がついていない)。言うなれば僻地で、どうでもいい存在だ。
この「どうでもいい存在」である日本を変えて行くには、となると政治の話になるので、ここでは省くが、こういった価値観をもって日本で暮らすのはあまり楽しいことではない。
大学卒業後の就職、ということに関しては、とても10数年後のことは読めないが、現状では、日本の大企業に入りたいなら、ハーバードではなく、東大に行った方がいいと思う。7年前ははっきりそうだった。アメリカにも多少、日本の企業からリクルーターが来たが、非常に限られていた。もちろん、今は多少変わっているかもしれないし、10数年後は分からない。
日本経済と日本社会の先行きがあまりに暗く、自分の子どもには絶対にそんな社会で生きていって欲しくない、と思うなら、インターナショナルスクールがおそらく正しい答になるのだろう。
だが、いざとなったら日本を脱出できるような、という程度の英語力であれば、自分で学習を始める年齢になってからでも間に合う。たとえば、アメリカで仕事を見つけたい、という状況になったとき、重要になるのは、英会話の滑らかさ、発音のなまりのなさではなく、どんな仕事ができるか(そしてその仕事をする人間がアメリカで足りているかどうか)になる。
もちろん、日本の学校教育ばんざーいと言っているわけではない。英語教育に関しても満足していないので、早期英語教育をしているわけだ。でも、総合的な住みやすさを考えると(そして、親である我々が日本人であることを考えると)、日本人として育つことの方がメリットが多いのではないか、というのが、現在の私の『広い視野』だ。
一年ほど前に書いた「インターに通わさないの?」という記事があるのだが、基本的に意見は変わっていない。
***
紀伊国屋で買った本の2つめはこれ。
Dora the Explorer: Words (Dora the Explorer Write, Slide & Learn)
書いて消せるホワイトボード風の絵本でマーカー付、1,000円ちょっと。仕掛け絵本風に、タブを引っ張ることができ、たとえばリンゴの絵の下に、APP Eと書いてあって、タブを引っ張るとLが現れる、という仕組みになっている。
この書いて消せるのが楽しいらしく、喜んだ。ただ、放っておいたら、自分でさっさとタブを引っ張っては解答を見て、アルファベットを書き込んでいた。30分ほど1人で遊んで終了(^^;
絵だけ見て答えるのは、"This is too むつかしい."そうだ。その後は、無意味にぐりぐりと四角の中を塗りつぶしたり、いたずら書きをして終了。
こっちの方が初歩なので、こっちにすれば良かった。こちらはアルファベットの書き方からある。
Dora the Explorer ABC (Write, Slide & Learn)
まだまともに教えていない(というか、教わる気を見せない)ので、アルファベットの書き方は超自己流のなお。本当はワークブックなどを使って練習したいのだが、とても受け付けない。多少なりとも一緒にワークができるようになるのはいつなのだろう。
↓ブログ更新と親子英語のやる気のもと!クリックお願いします。
10 件のコメント:
なおぱぱさん、こんにちは。
興味深い記事でした。
インターに通わせたら中身が欧米人になるってことですよね。
皆が公立学校の教育に不満なのは、戦後他国が干渉して故意にきちんとした教育を与えない状況にしてしまったせいですから、公立学校が正しい日本語・道徳・歴史を教え、プラス教養としての英語を教えてくれるようになれば一般の家庭が無理にインターに入れる必要はなくなりますよね。
ハナ&チィには「英語が話せる日本人」になって欲しいと思うのでインターはなし、です。(^^)
日米比較というとあまりにもいろいろなことがあり 一概になになにとは言えませんが
高校数学という点での比較として
"SAT"の問題集
http://www.amazon.co.jp/Barrons-SAT-Math-Workbook-New/dp/0764141961/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=english-books&qid=1279624522&sr=1-1
など
大学進学適性試験を見てみるのも一考かと
http://ja.wikipedia.org/wiki/SAT_(%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E9%80%B2%E5%AD%A6%E9%81%A9%E6%80%A7%E8%A9%A6%E9%A8%93)
日本の高校生に"日本の”数学を教えたことも”SAT"も教えたことがありますが
”SAT"は 日本の中学生が解ける問題がたくさんあります
本屋さんで「立ち見」してみるとびっくりすると思います
こんにちは。
当の本人がアドバイスを受けてから、考えるのをサボっているのに、色々、思案していただいて、恐縮です(><)
英語と話術が巧みでも、仕事ができない人
実は、数人いました。出産前に勤めていたに。
我が子が将来、何者になるのかはわかりませんが、英語だけではなく本職も長けている人。になって欲しいです。
「アドバイスを受けて、私が考えてた事」は遅ればせなっがら、ポチポチとつたない文章でブログに書いていく予定です。よろしくお願いします!!
>ケイさん
そのまま「欧米人」になるわけでもないあたりが難しいと思います。まあ、「国際人」と言えばそれまでですが。
早期英語教育も含めて、我が家では公教育に足りないところを補っていこう、と思っています。
>うめ★hiroさん
GREなるアメリカの大学院向けの統一テストも中学~高校レベルだったりします。
一方で、「失われた20年」などと言われて、日本の経済成長が止まってしまった一方、アメリカが伸び続けてきたのは確かなので、今まで通りのペーパー学力偏重の育成で良いのかどうか、問い直す必要がありますよね。
>masyaままさん
すごい刺激的な記事でした(^^) きっと多くの人が色々なことを考えられていると思います。
実際のところは、インターは学費の面からも検討外だったりします(笑)
私が自分では言葉にできない部分を文章にしてくださってるような記事で、読んでいてすっきりしました。1年前の記事も合わせて読ませていただきました。私も英語はあくまでも単なるツールだと思っています。私もアメリカにいたころ、日本のことについて質問されて、英語云々ではなく、知識がなくて答えられなくて赤っ恥かいたことは多々^^; 娘には伝えたい何かを見つけてもらいたいです。
今は親子で英語学習に取り組むことに意義を見出すことができているので、わが家もインターではなく、親子英語を続けると思います。。。と言えば、かっこいいですが、一番の理由は経済面ですが(笑)
>cottonさん
もしお金があっても、インターの学費に使うのが必ず正解だ、とはとても思えません。
もちろん、それなりの意義も効果もあるとは理解していますが、価値観次第ですよね。
自分が使える予算と時間で最大限の効果を上げる、というのが目標です!
こんにちは。
masyaままさんの記事に衝撃を受けつつも、ぽかーんとなったままになっていましたが、
なおぱぱさんのこの記事で自分の目標を再確認できました。
自分なりのペースでなによりも継続することを重視していこうと思います。
>ものぐさハハさん
ものぐさハハさんの記事も読ませていただきました。
私の意見は、ダンナ様の意見ともかなり近いです。その上で、うちも「継続」と「楽しさ」をモットーにゆるゆるといきます。
こんにちは。
masyaママさんのあの記事、やはり反響大きいですね。
私も自分の考えをまとめよう…と思いつつも、ちっともまとまりません。
自分に確固たる信念がないので、ついつい、人の意見を聞くたびに、あっちフラフラ、こっちフラフラと流されてしまって・・・。
私の「広い視野」がどこにあるのか、考えてみようと思いました。
>Cassisさん
色々な意見を柔軟に取り入れる、という意味では、一直線に突っ走るより、ちょっとぐらいふらふらしていた方が安心かもしれません。
私も、子どもの反応をガイドに適当に方向修正もしつついこうと思います。
英語のビデオも絵本の読み聞かせも喜んでくれるうちはこのままで大丈夫かな、と。
コメントを投稿