2019年3月12日火曜日

「2月の勝者」についてつらつらと(3)

2巻への感想の続きになる。

「難関私立大学合格者数大幅削減」という記述がある。これは2017年の話で、文科省の方針のせい。この傾向は2018年度も続いた。

全国的な少子化と首都圏集中の問題は今後も続くので、文科省の方針は今後も変わらないだろう。

一方、大学入試における競争率はどうなるか。

前々回に紹介したサピックスの記事によれば、今後6年で高3人口は近畿では13%減。一方で、大学の定員はそう簡単には減らない。前述の話はあくまで「合格者」であって、定員は変わらない。今までは定員を超えた入学者がいたのを、より定員に近づけましょう、という話であって、これ以上どんどん合格者が減るわけではない。

すると、単純に考えると競争率が下がる、つまりより良い大学に入りやすくなるような気がする。が、実際にはそう簡単な話ではないかもしれない。

私学ではすでに定員の半分ぐらいを占める「その他入試」、推薦入試やAO入試などが国立大学でもより多く使われるようになる。さらに、学力勝負の一般入試でも、高校入試でいうところの「内申」にあたるポートフォリオなるものが導入される可能性がある。

この「改革」の始まりには、現在の大学入試(一般入試限定)は一発勝負の筆記試験に頼りすぎ、21世紀に必要な人材を育てるのに適切ではない、という「世間」(というか政財界)の考えかたがある。わかりやすく言えば、昔から世間で言われてきた、勉強だけ出来るがり勉君なんて、社会に出ても役立たない!という発想だ。

じゃあどう変更するか。文科省の方針としては、前回紹介したような、既存の教科の勉強が役に立たないような試験や、高校生活における「主体的な学びの態度」、つまりは高校の先生による学習の「意欲」の評価を入試に使っていこう、ということになる。

このあたりは、文科省の予想通りに入試改革が進むかは不透明だ。特に、東大京大や早慶、旧帝大あたりのトップ校はそう簡単に入試スタイルを変えないだろう。



2巻のハイライトは中学受験は「課金ゲー」という話。中学受験で通塾すると、月謝に加えて、春夏冬の季節講習はもちろん、さらに日曜特訓やら志望校特訓やらのオプションが大量にある。

ほとんどの塾ではオプション扱いなので行かせない、という選択肢もないわけではない。が、季節講習は行かせない家庭はほとんどないと思われる。理由は、作中でも述べられているとおり、単純。単純に勉強時間だけを考えても、やれば学力は伸びる。他の子がみんな行っているのに自分の子が行かなければ取り残されてしまう。

ここで、作中のカリスマ講師は、中高一貫校を「特急券」に例えている。最終的な目的地が難関大学だとして、そこに行くために普通列車で行くこともできるが、お金を余計に払うことによって、より「確実」な道を用意するのだと。

別に公立中学から高校受験をしても、目的地に違いはないが、より確実に、効率良く着くことができるのが中学受験だ、という考え方には説得力がある。

実は中学受験ではさらに「重課金コース」があるのだが、これが登場するのはもっと後の巻だ。



このシリーズ記事を書いていて最近思うのだが、親子英語も、「特急券」に似たところがあると感じる。

中学校に入ってから英語を勉強しても、間に合うかもしれない。でも、現実的には、英語嫌いになったり、苦手になったり。中学校から始めて高度なレベルにまで達するのは、非常に限られたケースであって、それを確実にするのが親子英語だ。

さらにいうと、発音とかヒヤリングとか、中学生からでは間に合わない部分というのもあるのだが、そのあたりは親子英語でも不確実なので、あくまでもおまけ程度で。

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