今回は、この番組を制作したスタッフが書いた本、"Between the Lions Book for Parents"の中身の紹介だ。
これは実はシリーズ化していたのだが、最後の記事がもう2年以上前だ。
一応、今までどんな記事を書いてきたのか、リンクをもう一度載せておこう。
その1:テレビ番組の見せ方
その2:「読み」につながる5つの要素
その3:年少さん~年中さん時代の言語発達
その4:ストーリーテリングの重要性
その5:音読の重要性と活字の豊かな環境
その6:ライミング、マザーグース、歌の重要性
その7:アルファベットの習得、年少~3年生
その8:プリスクール編お勧め本!(その1)
その9:プリスクール編お勧め本!(その2)
その10:プリスクール編お勧め本!(その3)
その11:プリスクール編お勧め本!(その4)
その12:プリスクール編お勧め本!(その5)
2年ぶりではあるが、この続き、その15として、Grade 1、つまり1年生のリーディングについてこの本にどんなことが書かれているか、今回紹介する。
本当はなおが小1になったら記事を書こうと思っていたのだが、アメリカの暦的には、なおはもう小1も終わり。ちょっと遅くなってしまった。
まず、キンダーでは、子どもの読み書きはあくまで「実験」、遊びの延長のようなものだったのが、小学一年生では「独立」、つまり1人でできるようになるその第1歩になるというのが一年生の特徴だ。
そういう意味で、1年生は自分で読めるようになる時期と思ってよい。
ただ、その過程はさまざまで個人差が非常に大きいので、多くの場合は自然と読みが発達していくので特に心配する必要はない(もっとも、これは英語圏で暮らすネイティブの場合)。
ゆっくり少しずつ読めるようになる子、ある日突然読めるようになる子、などなどいろいろな子どもがいる。
タイプとしては、意味を優先して読むので細かいところが落ちたりするタイプ(なおはこちら)と、フォニックスにこだわりすぎてぶつ切りで読み上げて意味が頭に入らないタイプに分類できるようだ。
読めるようになるための訓練だが、フォネミック・アウェアネスとフォニックスの2つに分けられる。まず、前者については上のリンクに少し詳しく書いたので参考にして欲しい。聞いた音をしっかり識別する力だ。幼稚園時代から継続して必要となる訓練になる。
フォニックスの重要性については言うまでもない。特に小1で重要になってくるのは母音の方だ。幼稚園時代に子音の方はだいぶ頭に入っているはずだが、母音は英語では非常に複雑なので、この段階でようやく取り組みが始まる。まずは、fanのように、子音-母音-子音で構成される単語のマスターから(まあ、ほとんどのフォニックスのテキスト・カリキュラムの構成はそうなっている)。
フォニックスだけでなく、文脈から意味をとり、単語を類推する、ということも必要となってくるので、単に単語を対象とした反復練習だけではなく、文章を通じて学ぶことが大切だ。
次は「流ちょう性(Fluency)」。
スムーズに、抑揚をつけて自然なリズムで読む力だ。単語を「解読」するのに苦労する低学年の子どもは、どうしてもこの流ちょう性に欠けるが、ある意味当然の話で、これから数年かけて向上させていくことになる。
これができる、ということは意味のあるものとして文章を捉えている、ということの証でもある。
自然と単語が認識できるようになるのが流ちょう性への鍵であり、そのためにはサイトワードのマスターが不可欠だ。
訓練方法は、ただたくさん読むだけ。同じ文章を繰り返し読むのも良い。他の人と一緒に読むのも良い。
また、この年齢ではまだ音読が中心になる。音読させることにより、子どもの理解の進歩を知ることができるためだ。一方で、1人で黙読することもたまには必要となる。喋ることに注意を使わず、純粋に読むことだけに集中する練習も必要だからだ。
「語彙(vocabulary)」も、読む力の向上のためには重要だ。
語彙力と読む力にははっきりとした関連がある。親としては、様々な分野・タイプの素材を用意する他、難しめの本を読み聞かせるのも、語彙力を増やす上で非常に効果的だ。読み聞かせの後で、出てきた難しい単語を会話に使ってみると良い。
こうした個別の力が、最終的に「理解(comprehension)」へとつながっていく。
理解力を増やすための訓練としては、読みながら先を予測させたり、内容について質問したり、手がかりを探させたり、といった方法がある。
また、読んでいる内容と子どもの実体験をつなげる工夫も重要となる。
*
このThe Between the Lions Book for Parentsのどこが役に立つかというと、ブログやオフ会で同年齢または年下なのにすごく言語の発達の早い子を見て焦ったときに、果たしてどこまで成長している「べき」なのか、はっきりと明記してあることだ。
ちなみに、小1の終わりには、以下の事項が達成できている必要がある。これは「最低限これだけは」というリストだ。ネイティブにとって、なので親子英語的には目標としても良いだろう。
- 年齢相当の本がある程度正確に抑揚をつけて音読できる。
- 声に出して読まなくてもわかるサイトワードが増えている。
- 知らない言葉を、2,3字まとめて声に出して読もうとする。
- 聞いた言葉を、音素に分解して、正しくなくてもアルファベットにして書くことができる。
- 単語・意味を理解するためにいろいろなやりかたを知っている(フォニックス、サイトワード、文脈、などなど)。
- 興味があることについて書くことができる。文法に多少気をつける(最初は大文字とかピリオドとか)ことができる。
*
ちょっと長くなったが、リーディングはここまで。次回はライティング編にご期待いただきたい。
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5 件のコメント:
おおー! この手の記事、とっても参考になります。
過去記事をまとめてくださってありがとうございます~♪
13を見てきました。
うちは、オンセットとライムの組み合わせをわかっているかが疑問。
韻を楽しむ絵本を読むか・・・
せっかく家にあるBetween the lions を見せてみようかな~♪
「年下なのにすごく言語の発達の早い子を見て焦ったときに」のくだりに、そうだ、そうだ!とうなづきました。
その子は「基準」にはならないのに、焦る気持ちが出るのは確か。
焦らず、でも着実に・・・ですね(^^)
シェアありがとうございます。
勉強になります☆
次へのステップに必要なものってひとつだけじゃなく
色んな課題が入り交ざっているんですよね。
でもこうして必要なスキルを整理して教えて貰えると
漠然としてじゃなくすべきことが明確に取り組める!
弱いところをさりげなくフォローしていきます☆
なおくんアメリカではもうすぐ2年生ってことになるのか。
っていうことはうちはまもなく1年!!
早いなぁ・・・^^;
毎度ながら骨太記事をありがとうございます。
しかもこういった流れを整理してくださってる記事、
いまのわが家にはドンピシャ!
9月からはわが家も一応、G1に相当はするわけですが
こういった基準を念頭におきながら取り組んでいこうと思います。過去記事も読ませていただきました。内容はもちろん、なおくんの小さいころのエピソードが可愛いですね〜^^
こんな本があるんですね~。とっても参考になりました、シェアありがとうございます!
G1終わりまでの達成リストですが、思い返してみると我が家はちょうどG1終わり(小1の夏休み頃)にこれらを目標にスタートを切ったところでした。その頃はまだ小文字も怪しく、3-letter wordの読みすらまったくできませんでした。
それが、取り組みの甲斐あって冬頃には前半をクリア、2月頃からライティングをスタートし、小2の1学期が終わる頃には後半もクリアすることができました。(なので、小2の2学期から保持教室に入室することができました。)
その子その子で発達の進度や興味の方向が違うので、焦る必要はまったくない、という意見に大賛成です。我が家も、精神的にも肉体的にも発達遅めな子なので今でも心配することが多いですが、「いずれどの子もできるようになる!」と思って頑張ります~^^
>Cassisさん
ネイティブの基準でみても、「ここまでやっておこう」という水準って決して高くはないんですよね。小学校に入ってからはどんどん水準があがりますが。
自分の子にあったやりかたを見つけるのが一番!
>Carriexxxさん
あっという間ですよね~。yunちゃんも小学生!と考えるとほんと速い。
言語の発達は話し言葉を中心にバランス良く、ということだと思います。
いろいろな体験を積むことが大切、というのも出てきますが、その点、みなさんほんと積極的ですよね!
>cottonさん
G1まではワークなんかもお遊びでいいと思うんですが、そろそろしっかりやらせなきゃ、と思い始める頃ですよね。
過去記事、読むと可愛いエピソード満載ですよね!自分で読んでうっとりしています(^^)パパが仕事に行くだけで足にしがみついていたのに(^^;
後、cottonさんの初めてのコメントも発見しました。貴重です。
>マンゴーさん
マンゴーさんの娘さんのお話をお聞きすると、スタートが早くなくても大丈夫なんだな、と安心できます。
娘さんが書いたものを見せていただくと、今は十分すぎるほどだと思います!
この後、ライティング編、G2、G3と少しずつ紹介していきますね。
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